ハワード・クリスティー『合衆国憲法署名の情景』


 ハワード・クリスティーが描いた『合衆国憲法署名の情景』には、憲法に署名する39人の代表達が描かれている。誰もが演壇に立つワシントンの姿に目を奪われる。部屋に差し込む光がその姿を明るく照らし出している。それと同時にまるでワシントンから光が放射されているように見え、演壇の前のフランクリン、ハミルトン、そして、マディソンを照らし出している。
 署名を行おうと集まっている代表達の中でワシントンは直立不動の姿勢を保っている。様々な色の服装を纏っている代表達に対してワシントンの服装は黒一色である。
 ワシントンは代表達と相対しているが、その視線は将来を見据えるかのように天上に向けられている。それは政治的争いから超越した姿を示しているかのようだ。クリスティーの絵は、ワシントンが憲法制定会議に及ぼした影響力を端的に表現している。

『アメリカ人の物語22 憲法制定会議』から抜粋