大統領とネクタイの色

 テレビからよく問い合わせがあるのがアメリカ大統領は意識的にネクタイの色を選んでいるのかという話。毎度毎度、質問があるのでここにまとめて書いておくと便利かもしれない。

 例えば赤と青のネクタイについて考察した記事もあるが、根拠は乏しい。そもそも色彩というのは極言すれば誰でも好きなように解釈できるので、大統領自身が何らかの決まった効果を狙ってこの色を選択しているとは言い難いと思う。

 共和党のシンボルマークが赤
 民主党のシンボルマークが青

 これが関係しているとも考えられるが確証には乏しい。例えば、ブッシュ(父)共和党、オバマ民主党、ブッシュ(子)共和党、クリントン民主党、カーター民主党と並んで映っている写真があるが、。ネクタイの色は所属政党と合致していない。合致しているのはオバマだけ。

 重要な機会にオバマは何色のネクタイを付けているのか。寒色は主に青、暖色は主に赤。

2008年1月8日   
 Yes We Can Speech 寒色
2008年2月5日
 メガチューズデイ 予備選挙の天王山の日 寒色
2008年3月18日  
 より完全な連邦演説 寒色
2008年6月3日
 予備選挙勝利宣言 寒色
2008年8月28日
 民主党全国党大会 候補指名受諾演説 暖色
2008年9月26日
 第1回テレビ討論 暖色
2008年10月
 第2回テレビ討論 寒色 
2008年10月
 第3回テレビ討論 暖色
2008年11月4日  
 勝利宣言 暖色
2009年1月20日  
 第1次就任演説 暖色
2009年4月5日   
 核のない世界演説 寒色
2009年12月10日 
 ノーベル平和賞受賞演説 寒色
2009年9月9日   
 医療保険制度改革演説 暖色
2010年1月7日   
 一般教書 暖色
2011年     
 一般教書 寒色
2012年     
 一般教書 暖色
2013年     
 一般教書 寒色
2014年     
 一般教書 寒色
2012年 
 第1回テレビ討論 寒色
 第2回テレビ討論 暖色
 第3回テレビ討論 寒色
2012年11月7日 
 勝利演説 寒色
2013年1月20日 
 第2次就任演説 寒色

 法則性(ここ一番の時に寒色、暖色どちらをつけるなど)はどうやらないようだが、強いて言えば、寒色と暖色をバランスよく配分しているように思える。同様の機会がある場合、同じ系統の色は使っていないようだ。偶然かどうかは不明。
 2008年の大統領本選の勝利宣言は暖色、2012年の大統領本選の勝利宣言は寒色、2008年の候補指名受諾は暖色、2012年の候補指名受諾は寒色、2009年の就任演説は暖色、2013年の就任演説は寒色。2008年のテレビ討論では暖色⇒寒色⇒暖色なのに対して2012年のテレビ討論では寒色⇒暖色⇒寒色と逆転。2009年のエリザベス2世との会見は寒色、2011年の会見は暖色になっている。
 ただ俗説にあるようにここぞという時に何色のネクタイを付けるという決まりはない。そもそも大統領という立場上、もしここぞという時に付けるネクタイの色が決まっていると問題になる。もし大統領がある晩餐会でその色以外のネクタイを付けてきたらどうだろうか。出席者は失望しないだろうか。したがって、ネクタイの色に法則性はないと考えられる。たとえあったとしても本人しか分からない。