ハミルトンの三男ジェームズによる回想
ハミルトンの優しい性質は、子供達と友人達にとって彼の家を最も楽しい家にした。彼は娘のアンジェリカと一緒にピアノを弾いて歌った。彼の子供達との興隆は、いつも愛情と信頼に溢れていて、子供達に似たような自信と愛情を持たせた。私は、ブロードウェイの家の正餐室で朝食を食べたのをよく覚えている。我が愛する母は膝の前にナプキンをかけてテーブルの頭に座って幼い兄弟達のためにパンを切り、バターを塗るのを常とした。幼い兄弟達は母の横に立って交替で聖書やゴールドスミスの『ローマ』を読み上げていた。その授業が終わると、父と年長の子供達が朝食に呼ばれ、その後、少年達は学校に送られた。
ボストン茶会事件に関連する風刺画
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| The able doctor, or America swallowing the bitter draught (1774) |
アメリカを象徴するインディアンの女性①がイギリス首相のノース卿②に紅茶③を無理やり流し込まれている。ノース卿のポケットには「ボストン港閉鎖法④」が顔をのぞかせている。ボストン港閉鎖法は、ボストン茶会事件の後にイギリス議会が制定した報復法である。アメリカ人はそれを「懲罰諸法」と呼ぶ。
インディアン女性の足元にはボストンからの請願⑤が破られて捨てられている。アメリカ人からの請願が無視されたことを示している。
背景の海にはイギリス艦隊⑥が浮かんでいて「ボストン砲撃」と記されている。
サンドイッチ卿⑦、マンスフィールド卿⑧、ビュート卿⑨(軍法と書かれた剣を持っていてボストンが軍政下に置かれたことを示している)などイギリスの政治家がインディアンの女性を囲んでいる。
そして、ブリタニカ⑩(イギリスを擬人化した女神)があまりの惨状に目を覆っている。
さらに背後ではスペイン⑪とフランス⑫が救いの手を差し伸べるかどうか相談している。
ボストン茶会事件とモホーク族
ボストン茶会事件で自由の息子たちはモホーク族の装束を身に纏って紅茶を海に投げ込んだ。なぜわざわざモホーク族の装束を身にまとったのか。当局の追及を避けるという意味もあったが、他の意味もあった。
実はモホーク族がイギリス本国を訪れて大きな話題になったことがあった。イギリスの文人たちの間でモホーク族は理想の「自然人」の象徴として扱われるようになった。そして、モホーク族が書いたという触れ込みで政治風刺を展開した。そうした政治風刺は有名な雑誌に掲載されていたのでアメリカ人も読む機会があった。
ボストン茶会事件の当事者たちもそうしたモホーク族のイメージを借りて自分たちの政治的不満を表明した。それは自由の息子達が作った歌にはっきりと示されている。
モホーク族よ、斧を手に結集するのだ
そして、ジョージ王に宣告しよう
あんたが飲む外国産のお茶にわれらの税金など払わぬぞ、と。
やつの威嚇はこけおどし。
われらの娘や妻に無理やり
やつの穢らわしい紅茶を飲ませようとは!
だからものども、急ぎ集まれ
グリーンドラゴンでわれらの族長たちと顔合わせだ!
われらのワレン博士も、勇者リヴィアもいる
ものごとなす手と、励ましの言葉で
自由と法を掴み取るぞ。
わが邦の”勇敢”で屈強の守り手たちが
自由のために戦うのを
真のノースエンド魂はけっして見殺しにすまい!
だからものども、急ぎ集まれ
グリーンドラゴンでわれらの族長と顔合わせだ。
『アメリカ建国とイロコイ民主制』より引用。『アメリカ建国とイロコイ民主制』は、イロコイ六部族連合が白人の到来よりも先に独自に編み出していた「憲法」や思想がどのように西洋思想やアメリカ建国の理念に影響を及ぼしたのか論述した画期的な本。
スカイラー家とハミルトン
多くの建国の父祖たちの中でもハミルトンの出自は異例である。恵まれた家庭環境にあったわけではない。身一つで新天地アメリカにやって来たと言っても過言ではない。
ミュージカル『ハミルトン』に登場する建国の父祖たちと比べるとどうか。ワシントン、ジェファソン、マディソンはいずれもヴァージニアの大農園主に属する。恵まれた出自である。ジョン・ローレンスも富裕な家に生まれ、最高の教育を受けている。フランクリンも貧賤から身を起こしたがそれでもハミルトンより恵まれていただろう。
ハミルトンが飛び込んだ新天地アメリカだが、イギリス本国よりも緩やかであったとはいえ階級がなかったわけではない。確かにアメリカにはイギリス本国からたまにやって来る本物の貴族を除けば、貴族は存在しない。しかし、実質的に貴族と言えるような名家は存在した。
ニュー・ヨークでは大土地所有者が多くの借地農を支配していた。スカイラー家もそうした支配階層に属した。
独立戦争が始まるとスカイラーは将軍の一人としてニュー・ヨークに睨みを効かしている。将軍は軍事的才能だけではなく政治的バランスも考慮して選ばれたので、スカイラー家が強い影響力を持っていたことがうかがえる。
当時の結婚は家柄が物を言ったのでハミルトンがスカイラー家と婚姻関係を結ぶのは異例のことであり、言うなれば逆玉である。確かにハミルトンは独立戦争で活躍してワシントンの信頼も厚かったが、それでもスカイラー家に釣り合う存在だったとは言えない。スカイラーがハミルトンの才能を認めたことが大きいだろう。
アメリカ歴史旅XXIV―モリスタウン
前回のアメリカ歴史旅XXIIIに続いて今回は最後のモリスタウン。モリスタウンは大陸軍が冬営地として使った場所。
| ワシントンの本営が設けられた家 |
| 数々の日用品が展示されている |
| 当時の遊具 |
| 当時の衣裳を着用した人が迎えてくれる |
| 作戦会議中を再現 |
| 天蓋付きベッド |
| 気泡や歪みを見ると古いガラスとわかる |
| 小さな天蓋付きベッド |
| ワシントンが就任式に着用した小剣 |
| スカイラー=ハミルトン・ハウス |
スカイラー=ハミルトン・ハウスは開館している時間が非常に限られている。もし訪問する場合はホームページで開館時間を確認したほうがよい。内部は写真撮影禁止だが、説明は非常に丁寧。ハミルトン・ファンは是非とも訪問してほしい。
もしミュージカル『ハミルトン』で興味を持ってこのページを見ている人は、是非ともLOVE PERFORMING ARTSを訪問してほしい。『ハミルトン』観劇の基礎知識が日本語で確認できる。
アメリカ歴史旅はこれで最後。写真使用はすべてフリー。旅に出たい人は遠慮無くメールで相談して欲しい。
もしミュージカル『ハミルトン』で興味を持ってこのページを見ている人は、是非ともLOVE PERFORMING ARTSを訪問してほしい。『ハミルトン』観劇の基礎知識が日本語で確認できる。
| ハミルトンがイライザと会っていた場所 |
| 左からラファイエット、ハミルトン、ワシントン |
| ワシントンは実際よりも少し背が高い |
アメリカ歴史旅はこれで最後。写真使用はすべてフリー。旅に出たい人は遠慮無くメールで相談して欲しい。
アメリカ歴史旅XXIII―番外編:十号堡塁
アメリカ歴史旅XXIII―ヨークタウン古戦場の番外編。十号堡塁を中心に紹介。もしミュージカル『ハミルトン』で興味を持ってこのページを見ている人は、是非ともLOVE PERFORMING ARTSもチェックしてほしい。『ハミルトン』観劇の基礎知識が日本語で確認できる。
| 奥にあるのが十号堡塁 |
| 案内板(遠景) |
| 案内板(近景) |
| 右はアロンゾ・チャペル作のハミルトン |
| 復元に関する説明 |
| 逆茂木 |
| この狭い十号堡塁に立てこもっていたイギリス兵は70人 |
アメリカ歴史旅XXIII―ヨークタウンの古戦場
前回のアメリカ歴史旅XXIIから今回はヨークタウン。言わずと知れた独立戦争の古戦場。
他の写真はアメリカ歴史旅XXIII―番外編:十号堡塁に収録。ハミルトンファンは是非ともご覧あれ。
アメリカ歴史旅XXIVに続く。
| 戦場となったヨークタウン周辺 |
| 胸壁が残っている |
| 塹壕の跡(中央) |
| 榴弾砲 |
| ハミルトンとローレンスが活躍した十号堡塁 |
| 第九号堡塁入り口 |
| 第九号堡塁を中から見る |
| ビジターセンター展示の司令部テント |
| ビジターセンター展示の堡籃 |
| ヨークタウン |
| ヨークタウンのネルソン邸 |
| ヨークタウンの沿岸部 |
| ヨークタウン歴史博物館野外展示 |
| 外科道具の解説 |
| 大テントの中 |
| 将校のテント |
アメリカ歴史旅XXIVに続く。
ヨークタウンの義勇兵
ある副官が馬に乗って状況を視察していた時、一人の粗野な格好をした男の姿が目に入った。汚れた前掛けを締めて、頭にはカワウソの皮の帽子を被っている。ウッドチャックの皮でできた大きな鞄を引きずっていて、肩に古ぼけて錆び付いた銃を担いでいる。それは銃身から銃尾まで二三〇cmはあろうかという年代物である。初めて植民地を建設した人びとが使っていたと言われても、きっと誰も疑わないだろう。
いったいこの男はどこの奥地から出てきたのだろうと思いながら副官は、どこの連隊に所属しているのかと質問する。男はぶっきらぼうに答える。
「所属している連隊なんぞねえ」
そして、副官に背を向けるとイギリス軍がいる方角に銃を構えて発砲する。しばらくして副官がまたかたわらを通り掛かった時、男は銃に弾薬を詰めるのに忙しい最中であった。副官は再びどこの連隊に所属しているのかと質問する。男はうるさそうに唸る。
「連隊なんぞねえ」
そして、銃を構える。銃口が向けられた先にはイギリス兵がいた。まさに発砲しようとしていたイギリス兵は銃を手にしたまま崩れ落ちる。男の銃弾が見事に命中したのである。男が銃を下ろすのを待って副官は強い口調で詰問する。
「おまえはどこの大隊に所属しているのか」
男はむっつりして答える。
「大隊なんぞねえ」
猶も副官は詰問を続ける。
「ではどこの中隊に所属しているのか」
男はもううんざりだという表情を浮かべながら答える。
「中隊なんぞねえ」。
副官は半ば呆れながら聞く。
「ではおまえはどこに所属して、誰のために戦っているのだ」
さも当然だという顔をして男は嘯く。
「畜生め、俺はどこにも所属してねえ。俺は俺のために戦っているんだ」
おそらく大陸軍にはこういう押しかけ義勇兵がたくさんいたことだろう。アメリカの自由や独立といった理念のためではなく、自分のために戦う。イギリス兵や本国支持派の暴虐に鉄槌を下す。それが当時の多くの庶民の戦う理由であったかもしれない。
いったいこの男はどこの奥地から出てきたのだろうと思いながら副官は、どこの連隊に所属しているのかと質問する。男はぶっきらぼうに答える。
「所属している連隊なんぞねえ」
そして、副官に背を向けるとイギリス軍がいる方角に銃を構えて発砲する。しばらくして副官がまたかたわらを通り掛かった時、男は銃に弾薬を詰めるのに忙しい最中であった。副官は再びどこの連隊に所属しているのかと質問する。男はうるさそうに唸る。
「連隊なんぞねえ」
そして、銃を構える。銃口が向けられた先にはイギリス兵がいた。まさに発砲しようとしていたイギリス兵は銃を手にしたまま崩れ落ちる。男の銃弾が見事に命中したのである。男が銃を下ろすのを待って副官は強い口調で詰問する。
「おまえはどこの大隊に所属しているのか」
男はむっつりして答える。
「大隊なんぞねえ」
猶も副官は詰問を続ける。
「ではどこの中隊に所属しているのか」
男はもううんざりだという表情を浮かべながら答える。
「中隊なんぞねえ」。
副官は半ば呆れながら聞く。
「ではおまえはどこに所属して、誰のために戦っているのだ」
さも当然だという顔をして男は嘯く。
「畜生め、俺はどこにも所属してねえ。俺は俺のために戦っているんだ」
おそらく大陸軍にはこういう押しかけ義勇兵がたくさんいたことだろう。アメリカの自由や独立といった理念のためではなく、自分のために戦う。イギリス兵や本国支持派の暴虐に鉄槌を下す。それが当時の多くの庶民の戦う理由であったかもしれない。
アメリカ歴史旅XXII―植民地議会議事堂、銃鍛冶屋、製本屋
前回のアメリカ歴史旅XXIに引き続いてウィリアムズバーグ。植民地議会議事堂、銃鍛冶屋、製本屋を紹介。
アメリカ歴史旅XXIIIに続く。
| 植民地議会議事堂正面 |
| 植民地議会議事堂法廷 |
| 植民地議会議事堂内のキャストによる解説 |
| 銃鍛冶屋外観 |
| 銃鍛冶屋内部 |
| 銃鍛冶屋の壁面 |
| 銃身を削る道具 |
| 作りかけの銃 |
| 製本屋のキャスト |
| 製本屋の棚 |
| 背表紙を縫う糸 |
| 糸を切断 |
| 背表紙を縫う |
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