前回のアメリカ歴史旅IIに続いて今回はニュー・ヨーク・シティにあるフェデラル・ホール。1789年に初代アメリカ大統領ジョージ・ワシントンが最初の就任式をおこなった場所。
昔のフェデラル・ホール |
東から西に見たフェデラル・ホール |
フェデラル・ホール周辺でワシントンの就任式を祝う人々 |
フェデラル・ホールでのワシントンの就任式 |
フェデラル・ホール内部から見たワシントンの就任式 |
ワシントンの就任式 |
フェデラル・ホールの前に立つジョージ・ワシントン像 |
フェデラル・ホール内部の展示 |
活版印刷機 |
説明版にはグーテンベルグがブドウ絞り器から仕組みを思い付いた旨が書いてある。その昔、ピーター・ゼンガーが政府を批判する新聞を発行してここで裁かれたことを記念して置かれている。
就任式の時にジョージ・ワシントンが立っていた石材 |
就任式の時にジョージ・ワシントンが立っていた石材に刻まれた文章 |
金庫室内部 |
ワシントンが就任式で使用した聖書 |
ワシントンの就任式(フェデラル・ホール内部にある絵画) |
『アメリカ人の物語』から抜粋
フェデラル・ホールは1700年に建造された旧市庁舎である。かつて印紙法会議が開催された場所として知られ、近年では連合会議の開催場所となっていた。ニュー・ヨークの富豪達は連邦政府の使用に供するために、そして、ニュー・ヨークを恒久的な首都にするために、3万2000ドル(8600万円相当)を集めて改修を行った。改修が終わると、その役割にふさわしいように市庁舎からフェデラル・ホールに改名された。
フェデラル・ホールの印象を一言で語るとすれば、「堂々とした」という形容詞が似合う。地階部分はトスカーナ様式で中央部に3つ、左右にそれぞれ2つずつ開口部がある。そして、中央部では安定感のある太い4本の柱がドーリア式の円柱で構成されたアーチを支えている。円柱の上を飾る小間壁には13の星があしらわれている。さらに切妻壁に目を移せば、広々と翼を広げた鷲が見える。オリーヴの枝の彫刻が窓の上を飾っている。こうした意匠は、この建物が連邦のために用意されたことを示している。扉の前には民兵が威儀を正して2列に並んでいる。その間を通ってワシントンは揺るぎなく歩みを前に進める。
フェデラル・ホールに足を踏み入れると、大きな公共の空間が広がっている。磨き上げられた大理石の床は、通る者の姿を映し出している。さらに奥に進むと両側に2つの階段が見える。右は一般用、左は関係者用である。階段を上らずにそのまま行けば下院会議場に、階段を上れば上院会議場に通じる。
上院会議場の前には控えの間があり、トスカーナ様式の片蓋柱[i]で装飾されている。上院会議場の広さは、幅が30フィート(約9.1メートル)、奥行きが40フィート(約12.2メートル)。天井の高さは20フィート(約6.1メートル)。分かり易く言えば、テニス・コートの半分程度の広さである。
輝く星を宿した葉飾りで彩られた柱頭を持つ片蓋柱によって議場はさらに荘重で優雅な雰囲気を帯びている。そして、片蓋柱に埋め込まれた円形の浮き彫りには「U.S.」の文字が麗々しく鎮座している。天井の色は晴れ晴れとしたような空の色で、中央には太陽と13の星が輝いている。会議場の入り口に立ったワシントンは、一堂に敬意を示して一礼する。副大統領のアダムズが会議場の正面に用意された緋色の椅子にワシントンを導く。
アメリカ歴史旅IVに続く。