大統領選挙の疑問―大統領当選者が就任前に死亡したらどうなるのか

 スーパーチューズデイが終わり、共和党と民主党でそれぞれトランプとクリントンが大統領候補指名を確実なものにしようとしている。
 そこでふと疑問が浮かばないだろうか。もし大統領選挙で当選後、該当者が急死した場合はどうなるのか。フランクリン・ローズヴェルトのように当選後に暗殺されそうになった例もある。
 まず考えなければならない点は急死のタイミングである。タイミングは4つある。
 一般投票前。選挙人投票前。議会による選挙人投票の確認前。就任前。
 一般投票前であれば、党が代わりの候補を指名する。また一般投票が終わっても選挙人投票前であれば、同じく党が代わりの候補を指名する。
 実際に起きた例がある。1912年の大統領選挙でジェームズ・シャーマン(共和党副大統領候補)が一般投票の直前に急死した。そのまま一般投票は行われ、選挙人投票の時点で党はニコラス・マレーを代わりに副大統領候補に指名した。
 もし大統領当選者が1月6日(選挙人投票の確認)と1月20日(就任日)の2週間に死去した場合、修正20条によって、副大統領当選者が大統領当選者に繰り上がる。さらに両者ともに死亡した場合、大統領継承法に基づいて、下院議長が大統領になる。
 しかし、問題となるのは、選挙人投票が行われた後から選挙人投票が確認されるまでの間である。法的には議会が選挙人投票を確認しなければ、それは無効である。したがって、大統領当選者も副大統領当選者もおらず、大統領継承法も適用されない。
 結局、選挙人投票で勝利した大統領候補、もしくは副大統領候補が選挙人投票の確認の前に死亡した場合はどうなるのか。その場合は、下院が新たな大統領当選者、上院が副大統領当選者を選ぶ。