ミュージカル『ハミルトン』歌詞解説12―The Story of Tonight (Reprise) 和訳

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Later in the night. Mulligan, laurens & Lafayette enter, with goblets in hand, razzing Hamilton.


LAURENS:

I may not live to see our glory!

「栄光をつかまずに生きていられようか」


解説:ローレンスは戦功に逸る傾向があり、ハミルトンはローレンスが死に急がないかと危惧していた。後にそうした危惧は的中することになる。


MULLIGAN/LAFAYETTE:

 I may not live to see our glory!

「栄光をつかまずに生きていられようか」


LAURENS:

But I've seen wonders great and small.

「あらゆる人に驚くべきことはいろいろある」


MULLIGAN/LAFAYETTE:

I've seen wonders great and small.

「あらゆる人に驚くべきことはいろいろある」


LAURENS:

Cuz if the tomcat can get married,

「もし女たらしが結婚できるなら・・・」


MULLIGAN/LAFAYETTE:

If Alexander can get married—

「もしアレグザンダーが結婚できるなら・・・」


解説:「tomcat(女たらし/雄猫)」とはハミルトンのことである。この点については、9—A Winter's Ball 和訳を参照のこと。


LAURENS:

There's hope for our ass, after all!

「我々ろくでなしにも希望はあるぞ」


LAFAYETTE:

Raise a glass to freedom.

「自由のために乾杯だ」


LAURENS/MULLIGAN:

Hey! Something you will never see again!

「なあなあ、今という時はもう2度とないんだぞ」


MULLIGAN:

No matter what she tells you.

「彼女が君に何を伝えようともね」


LAFAYETTE:

Let's have another round tonight!

「さあ今夜のお楽しみはこれからだ」


LAURENS:

Raise a glass to the four of us!

「我々4人に乾杯だ」


LAFAYETTE/HAMILTON:

Ho!

「よし」


MULLIGAN:

To the newly not poor of us!

「最近、なかなかいかしている我々に」


LAURENS/LAFAYETTE/HAMILTON:

Woo!

「おう」


LAFAYETTE:

We'll tell the story of tonight.

「今夜の話を伝えよう」


LAURENS:

Let's have another round—

「さあ今夜のお楽しみはこれからだ」


Burr enters.


HAMILTON:

Well, if it isn't Aaron Burr.

「おお、もしやアーロン・バーではありませんか」


BURR:

Sir.

「そうだ」


HAMILTON:

I didn't think you would make it.

「君が間に合うとは思わなかったよ」


BURR:

 To be sure.

「これはこれは」


MULLIGAN/LAFAYETTE:

Burr!

「バー」


BURR:

I came to say congratulations.

「お祝いを言いに来た」


MULLIGAN:

Spit a verse, Burr!

「言ってみろよ、バー」


BURR:

I see the whole gang is here.

「悪どもはみんなここにそろっているな」


LAFAYETTE:

You are the worst, Burr!

「おまえが一番の悪だぞ、バー」


HAMILTON:

Ignore them. Congrats to you, Lt. Colonel. I wish I had your command instead of manning George's journal.

「気にするな。おめでとう、中佐殿。ワシントンの帳面を付けるよりも君の指揮下で働きたいね」


解説:ハミルトンは副官としてワシントンの下で働いていたが、前線で指揮を執りたいと常々思っていた。


BURR:

No, you don't.

「いやいや」


HAMILTON:

Yes, I do.

「私はそうしたいんだ」


BURR:

Now, be sensible. From what I hear, you've made yourself indispensable.

「よく考えろよ。君はワシントンにとって必要不可欠な存在だと聞いているが」


LAURENS:

Well, well, I heard You've got a special someone on the side, Burr.

「君には特別な人がいると聞いたけどな、バー」


HAMILTON:

 Is that so?

「どういうことだ」


LAURENS:

What are you tryin' to hide, Burr?

「何か隠そうとしていないか、バー」


BURR:

I should go.

「そろそろ行かなくては」


HAMILTON:

No, these guys should go.

「いいや、君たちが立ち去らなくては」


LAFAYETTE:

What?

「何だって」


LAURENS:

No!

「嫌だね」


HAMILTON:

Leave us alone.

「我々を2人だけにしてくれ」


MULLIGAN:

Man...

「やれやれ・・・」


Mulligan, Laurens & Lafayette slink off.


HAMILTON:

It's alright, Burr. I wish you'd brought this girl with you tonight, Burr.

「これで大丈夫だ、バー。今夜、その女の子を連れて来いよ、バー」


BURR:

You're very kind, but I'm afraid it's unlawful, sir.

「ご親切にどうも。しかし、それが適切なことだとは思えないぞ」


HAMILTON:

What do you mean?

「いったいどういうことだ」


BURR:

She's married.

「彼女は人妻だ」


解説:「人妻」とはシオドシア・プレヴォーのこと。シオドシアはイギリス軍士官の妻であった。夫はシオドシアをニュー・ジャージーに残して南部に出征中であった。夫が客死した後、バーと結婚する。


HAMILTON:

I see.

「そうか」


BURR:

She's married to a British officer.

「彼女の夫はイギリス軍士官だ」


HAMILTON:

Oh shit...

「ああ、なんてことだ」


解説:実際のところ、ハミルトンはシオドシアと面識があった。


BURR:

Congrats again, Alexander. Smile more. I'll see you on the other side of the war.

「もう一度、祝ってみろよ、アレグザンダー。ほら笑ってみろ。私は敵側に回ることになるぞ」


解説:親戚との繋がりで愛国派と王党派のどちらにつくか決めることもよくあった。例えば、大陸軍のベネディクト・アーノルド将軍は王党派の妻を迎えてイギリス軍と通謀して裏切っている。ただバーはイギリス軍に寝返ったわけではない。


HAMILTON:

I will never understand you. If you love this woman, go get her! What are you waiting for?

「君の言っていることはよくわからないな。もし君がその女性を愛しているなら彼女を捕まえに行かなくては。何をぐずぐずしているんだ」


BURR:

I'll see you on the other side of the war.

「私は敵側に回ることになるぞ」


HAMILTON:

 I'll see you on the other side of the war.

「私は君を敵に回すことになるのか」


ミュージカル『ハミルトン』歌詞解説13―Wait For It 和訳

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