ミュージカル『ハミルトン』歌詞解説34―I Know Him 和訳

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King George enters.


KING GEORGE:

They say George Washington's yielding his power and stepping away. 'Zat true? I wasn't aware that was something a person could do. I'm perplexed. Are they going to keep on replacing whoever's in charge? If so who's next? There's nobody else in their country who looms quite as large...

「ジョージ・ワシントンが権力を手放して自ら退任したそうだ。それは本当なのか。そんなことができる者がいるとは信じられないな。困惑しているよ。ではこれから誰か別の者が責任を追うのか。そうなったら次は誰だ。他に出てくる者など彼らの国にいないだろうに」


解説:アイゼンハワー大統領の伝記を執筆したことで知られるスティーヴン・アンブローズは以下のように書いている。

彼の敵であったジョージ3世は、ワシントンの二期目が終わりを迎えた1796年に「もしジョージ・ワシントンが彼の農園に戻れば、彼はこの時代で最も偉大な人物になるだろう」と言った。

ただこの話には異説がある。1783年にジョージ3世は、ワシントンの今後の動向をアメリカ人画家のベンジャミン・ウェストに質問したという。ジョージ3世が知りたかったのは、独立戦争終結後、ワシントンがそのまま軍の長として留まるのか、それとも新国家の長になるかであった。ワシントンが退隠すると聞いて驚愕したジョージ3世は、「もし彼がそうすれば、彼は世界で最も偉大な人物になるだろう」と言ったという。


A sentinel whispers in King George's ear.


KING GEORGE:

What?

「何だと」


The sentinel whispers again.


KING GEORGE:

John Adams! I know him. That can't be. That's that little guy who spoke to me All those years ago. What was it? Eighty-five! That poor man, they're going to eat him alive! Ocean's rise. Empires fall. Next to Washington, they all look small All alone watch them run. They will tear each other in to pieces. Jesus Christ, this will be fun! Da da da dat da da da da ya da Da da da da dat ya daaaaa! Hahahaha. President John Adams. Good luck!

「ジョン・アダムズだと。私は彼を知っているぞ。かなり前に朕に話しかけた小男だろう。いつだったかな。1785年だね。ああかわいそうな奴、きっと生きたまま食べられてしまうぞ。海が盛り上がり諸帝国が滅びる。ワシントンの後継者は誰からも卑小だと見なされる。いったいどうなるか見ていてやろう。きっと互いに分裂し合うだろうよ。ああ神よ、なんて素敵なことか。ダダダダダダイヤダ、ダダダダダダイヤダ。ははは。ジョン・アダムズ大統領に幸運を」


解説:ミランダは「私はHBOのTVシリーズ『ジョン・アダムズ』をすべての者が見ていることを想定して書いている。『ジョン・アダムズ』におけるアダムズとジョージ3世のシーンは、シリーズ全体の中でも私が最も気に入っているシーンだ」と書いている

『ジョン・アダムズ』はAmazonで日本語字幕版を視聴できる。アメリカ建国をジョン・アダムズを中心に追体験できる。当時の様子がよくわかる映像資料として有益である。オープニングの音楽がとても良い。

1785年2月24日、連合会議はアダムズを初代の駐英アメリカ公使に任命した。その辞令を4月下旬に受け取ったアダムズは5月20日にオートゥイユを出発して、道すがらジェファソンから受け取った『ヴァージニア覚書』を読んだ。特に奴隷について論じた箇所は「ダイヤモンドの価値があります」とジェファソンに述べている。アダムズ一行はカレーを経て英仏海峡を渡り、5月26日にロンドンに到着した。6月1日、アダムズは信任状をジョージ3世に奉呈した。

陛下、アメリカ合衆国は私を全権公使に任命しました。[中略]。陛下の臣民と我が国民の間の自由で友好的な交流を発展させるという望みと全会一致の意向を陛下に請け合うという命令を表明することは私の義務です。[中略]。合衆国から陛下の宮廷への公使の任命はイギリスとアメリカの歴史の一時代を築くでしょう。外交官として陛下の前に最初に立つと言う栄誉を認めるにあたって我が国民によりも私自身、幸運だと思っています。


ミュージカル『ハミルトン』歌詞解説35―The Adams Administration 和訳

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